「あ、血がでるから、やめておきな」
「これ、なんですか?」
「魚を干すときに使うんだよ。普通の洗濯バサミだと、魚がすぐ外れるから。買いに来た人は漁師だって言ってたよ。やっと探し当てたって、喜んでた」
そういうときが一番うれしいのだと矢元さんは笑う。
そういうお客さんのために、この店はある。
どんなものでも「あるよ」と言って取り出せる、矢元さんはそういう達人だ。
このお店の他に、似たような状態の倉庫が裏に3つもあるという。それもあわせて膨大な数の全ての商品が矢元さんの頭の中の棚にもある。「倉庫内まで全ての商品を把握する達人」ということにもなるだろうか。
最近では、宝探し的な楽しみをもとめてこの店を訪れる人もあるという。
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