むしゃなび特集/2008年2号/伊達市室蘭市を含む西胆振のポータルサイトむしゃなび

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■ むしゃなび特集 2008年2号 ■
だて文化の未来その1 [3/4]
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信木 文化を持った地域は外から見て魅力的です。市民が共通認識として文化を大切にし、それを誇りに思う。文化の担い手は人なので、その地で教育を行うことが特に大切になってきます。
 文化的な価値の調査をすると、作品や文化価値の掘り起こしの中で必ず新しい発見があります。それは同時に、人的資源の再生産にもなっています。
 文化の空洞化の轍を踏まないために、教育や調査の中で、本物の文化と積極的に出会い、実体験をもたらすという目的意識を持つことで、必ず結果は出ます。現代には、時代に対する危機感とハイカルチャーへの渇望があるので、その中で市民の理解は得られると思います。

小さな規模で継続的に

野田 伊達でやるというのは非常に手頃なサイズだと思います。例えば、北海道や国でやるとなると、美術に関しても意識が違いすぎ成りたちません。金でしか価値を計らない日本で、真実の追求をやろうとするとブレーキがかけられます。伊達はありがたいところで、これまで1年半やってきて受け入れられてきました。こういう規模で純粋を目指し、こつこつ続けて本物が育ってきたら一番良いと思います。
伊達市開拓記念館庭園内「迎賓館」に展示された亘理伊達家に伝わる甲冑

2007年秋に研究所で開催されたシャーマンコレクション展

石田 今までの規模であれば、少ない予算ででき良かったと思いますが、これだけ大きな、しかも品位ある構想を実現するとなればお金ときちんとした説明が必要ですね。
 文化の流れが軽薄化する中で、この格調高さに対して市民が受入れ、賛同しついてくることができるのかどうか?そのためには外への情報提供が鍵となると思います。うまく情報を提供するには、実際にはかなり綿密にやることが必要で、机上の空論にならないようにしなければならないと思います。
 もちろん私は協力していくけれども、文学館、アートホール、ギャラリーの整備には資金が必要だし、それ以上にそこに人をいれるのは大変なことです。
 なかなか実現させるのは難しいが、できることからやっていくのがいいと思います。

楽木 今、箱ものアレルギーというのはどこにでもあるのが実情です。

大島 野田先生は、ここ(研究所)にアトリエがあるだけでなく、子どもたちが常に本物に触れることが大切だと尽力下さり、おかげで伊達市がシャーマンコレクション※の寄託を受けることになりました。
 大切なのは、それらは学びに来る子どもたちのためにあるのだということです。将来的には、この研究所の中に美術アトリエ、ギャラリーがあり、音楽のマスタークラス、ホールもあれば良いと思いますが、石田先生の懸念されている市民の理解も、研究所内で体系的に活動されている方が理解を得やすいでしょう。
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