むしゃなび特集/2004年10月号/伊達市室蘭市を含む西胆振のポータルサイトむしゃなび

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■ むしゃなび特集 2004年10月号 ■
近所の気になる喫茶店
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駄菓子カフェ れん

 弄月町、コミュニティセンターみらい館の脇の細い路地を地図を頼りに入っていく。普通のお家が立ち並ぶ住宅街の中に「駄菓子カフェれん」の看板が。とんとんと丸い飛び石をふんで、わくわくしながら木の扉を開けると、昭和レトロな世界が広がっていた。


■現役の駄菓子屋さん


 なにせ、「駄菓子カフェ」である。初めての語感に店内を見渡すと、カフェの一角に大人の懐古趣味をくすぐる駄菓子コーナがある、のではなくて、入り口は一緒だけれど、10坪ほどの立派な駄菓子屋さんがあって、お隣にカフェがあるつくり。それぞれ営業日や時間も異なっている。駄菓子屋さんの常連客は近所の子ども達で、小学生からなんと高校生まで。遠足の前日ともなると、外まで行列のできる盛況ぶりだそうだ。なるほど、お店の前に自転車を止めるスタンドがずらりと並んでいるわけだ。


 

 カルメ焼き、きなこ棒、チキンラーメンにうまい棒、当たり付きのガムや飴。陳列台や壁一面になつかしい駄菓子やおもちゃがずらり。20年以上たった今でも値段が変わらないなんてどういうこと?と思っていると、ふっと小さい頃通いつめた駄菓子屋の思い出がもどってくる。日曜ごとに教会の献金用にと母にもらった100円がずいぶんと駄菓子に化けたなあ。あの頃、わくわくしながら糸を引いたいろんな大きさの円錐形の飴についた糸をひく「くじ飴」もある。ここは現役の駄菓子屋さん。


■ネルドリップの本格コーヒーを味わって


 一方、カフェのほうは漆喰風の白壁に濃い茶色の腰板で、和洋折衷の昭和初期の雰囲気。古いジャズが流れる店内に、古い着物や帯の生地が、椅子や衝立にリメイクされて使われている。頭上に欄間をあしらったカウンター越しには、30・40年くらい前のノリタケなどのカップが並んでいる。カフェの店主、稲葉理恵さんによると、これらのレトロな食器も、骨董市に通うなどずいぶんと集めるのに苦労されたそう。 


 

 コーヒーを入れるひととき、それまでのにこやかな顔がきりっと引き締まった。「実はコーヒーにはこだわっているんです」という稲葉さん。開店前には、銀座の名店・カフェ・ド・ランブルで学んできたという木更津のコーヒー店で研修されてきたそうだ。メニュー表には4種のブレンドと7種のストレート、札幌のサワダコーヒーから仕入れているというコーヒーメニューがずらり。すべてネルドリップでじっくり落としてくれる。でも、「普通のコーヒーください」っていうお客様も多くて残念なんだとか。


■手作りが人気のeat メニュー


この日のメニュー
  • ローストビーフのきのこクリームソース
  • トマトライス
  • 温サラダ
  • デザート(バナナとヨーグルトでつくったフローズンアイスクリーム)

できることは全部自分でつくりたい、というだけあって、季節ごとのケーキはもちろん、ぜんざいのあんは自分で煮ているいるし、あんみつの白玉も寒天も、アイスクリームだって手作り。週代わりの軽食メニューは、開店以来1年半以上たっても同じメニューをだしたことがないそうで、こちらはランチに人気。ちなみにその日のメニューはプラムチキンのワイン煮セット・サラダ・スープ・デザート付きで800円。また3日前までに頼めば月代わりのホールケーキも予約注文できるそう。

 


■夢がかなって駄菓子やさん


 「母は人気者なんですよ。私が駄菓子の方にいると、カフェのおばちゃんはあっちにいって、と追いやられるんです。駄菓子のおばちゃんと話にきたんだからと、話し相手と思っている子もいるみたいで」それに、母も私もおばちゃんってのが納得できないのと稲葉さんは苦笑する。
 「駄菓子のおばちゃん」こと、辻八重子さんは稲葉さんのお母様。商品の選考、仕入れまですべてを担当しているそうで70歳と聞いて驚いた。眼鏡の奥から、チャーミングな瞳を輝かせている。
◇駄菓子のほとんどは、浅草の問屋から仕入れている 
 「お祭りがとにかく好きでね。小さい頃から、祭り好きの父に連れられ、どこかで祭りがあると聞くと、出かけていっていたの。駄菓子も好きで。そのころから、いつか10円みせやりたいって思っていたんです」。
 駄菓子やさんの中央にでんとある、銭湯の番台のようなスペースも、八重子さんのアイデア。この番台に座って、四方の壁や壁沿いの棚にあるあふれんばかりの駄菓子を選ぶ子ども達をにこやかに眺めているのだろう。
 駄菓子目当ての子どもたちが、お母さんやおばあちゃんつれてきて、そのおかあさん達が友人を連れてきてと、口コミでお客さんが広がってきているそうだ。当然年齢層も幅広く、「どんなお客様でも大歓迎です。駄菓子やもあるので子連れの方も気兼ねせずに来てください。ローソファに赤ちゃんをねかせておしゃべりしていく方もいらっしゃるんですよ」とのこと。

店主・稲葉さんはスキーのインストラクターをされていて、カフェは冬季(12〜3月)は月末の1週間のみの開店。電話で確認してから来店することおすすめします。駄菓子屋さんはいつでも空いているので、ふらりとよって楽しいひとときを過ごしてみては?


◇カフェ内の展示スペースは、売上の2割を支払えば展示販売に利用できる。対象は、カフェの雰囲気にあった、手作りの和風小物やアンティークものなど。また冬季間は、カフェ営業日以外、カフェルームのレンタルも行っていて、展示販売や個展などに利用できる





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