森のいきもの 本当のことを知ろう(NPO法人いきものいんく)/伊達市室蘭市を含む西胆振のポータルサイトむしゃなび

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◆ 森のいきもの 本当のことを知ろう(NPO法人いきものいんく) ◆
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洞爺湖町立温泉小学校4年生の皆さんと一緒に、 
加藤康大さん(NPO法人いきものいんく代表)の野外授業で、 
森に住む生き物のことを学びました。
 

 
洞爺湖自然保護官事務所(環境省)でアクティブレンジャーをしていた加藤さんは約2年前「NPO法人いきものいんく」を立ち上げて独立しました。 
現在、色々なところに活動を広げていますが、加藤さんの「人生における環境教育のはじまりの場所」だという洞爺湖温泉小学校では、月に2回前後、4年生のクラスの授業を受け持っています。 
 
さて、担任の扇靖宏先生も一緒に、学校の近くにある月浦森林自然公園に出発です。 
 
「五感を使っていきものを探そう」と加藤さん。 
 
公園の入口あたりで、さっそく誰かが葉の上に集まる毛虫たちを見つけました。 
 
毛虫といえども、これは何かの幼虫?  
加藤さんは本を開いてみんなに見せてくれます。正体は「クジャクチョウの幼虫」。 
こんな立派な蝶になるなんて。急に毛虫たちに声援をおくりたくなりました。知ることってほんとうに素晴らしい! 
 
観察するときの大切なことがもうひとつあります。加藤さんは「つながりを探そう」と言います。 
 
このクジャクチョウの幼虫が集まっている草を見ることを忘れてはいけません。 
イラクサの仲間のようです。この草がなくてはこの幼虫たちは生きられません。この幼虫とイラクサ類の植物は命をかけてつながっています。


 
橋をわたって木々の間に入ってゆくと、地面に落ちていたクスサンという大きな蛾のマユ(抜け殻)を見つけました。編み目になったマユは人の手でも簡単には裂けません。 
 

 
カエルも見つけました。 
エゾアカガエルです。加藤さんが捕まえました。 
 
どんな色をしているか、足はどんな形なのか、指は何本? 
じっくりと観察しながら「観察記録カード」にメモやスケッチをします。こうやってスケッチしてみると、カエルという生き物は知っていても、実はくわしいことは知らなかったと気づきました。 
 
加藤さんは、観察を終えたみんなにカエルのことを教えてくれました。 
 
昔から北海道にいる「在来種」は、このエゾアカガエルとニホンアマガエルの2種類だけ。 
現在は他に、本州から持ち込まれた「国内外来種」のツチガエル、トウキョウダルマ、トノサマガエル、アズマヒキガエル、そして外国から持ち込まれた「外来種」のウシガエルもいます。 
いないはずだったカエルが5種類もいるというのです。 
 
実物大にプリントした写真を見ると、そのカエルたちの大きいこと! 
大人のエゾアカガエルが8センチほどなのににくらべ、アズマヒキガエルは20センチ前後にもなります。 
もしもこんなに大きいカエルを見たら喜んでしまうかもしれませんが・・・加藤さんのお話を聞いて、喜んではいられない事態なのだと知りました。 
 
本州から来た体の大きなカエルたちは、もともとここで生きている北海道のカエルや昆虫を食べてしまうなど様々な影響があり、放っておくと在来種たちがいなくなってしまうかもしれないと言います。 
 
在来種は、この土地の様々な生き物とかかわり合いながら生きてきたので、生態の違うカエルが増えると、そのつながりが断たれ、ほかにも生きて行けなくなる動物や植物が出て来ると考えられます。 
 
イラクサがなくなれば生きられないチョウがいるように、カエルだけの問題ではすまないのです。 
 
それは、北海道の様々な生物や植物にも言えることです。特に、加藤さんは、環境省のレンジャーとして希少種の調査や保護をすすめる一方で、洞爺湖で繁殖しているウチダザリガニの防除に関わってきました。 
「ウチダザリガニは、日本人みたいな名前ですがアメリカから来ました」と加藤さん。 
人間の都合によって持ち込まれたウチダザリガニは、ニホンザリガニの生きる場所を奪ったり、水草などを食べてしまうことで生態系を壊してしまいます。 
 
動物では、以前から言われている洞爺湖中島のシカ、また最近では色々な所でアライグマも問題になっています。

「なぜ外来生物を防除するのか、身近な自然が今どうなっているのか、こどもの頃から本当のことを知って、それぞれ自分で考えられるようになってくれたら」と加藤さん。 
自然観察などの授業を通して様々な動植物がお互いかかわり合って生きていることを感じてほしいと言います。 
人間の勝手な行動で、たくさんの生き物が種を断たれてしまうかもしれない現状を伝え、同じことを起こさないための知識を身につけることが大切だと考えます。 
 
公園の入口にいたあの毛虫がチョウの幼虫だと知らなければ、触ると痛そうで避けたいような虫ですが、知ったあとでは声援をおくりたくなったあの気持ちのように、同じものを見ても、知っていれば自分が望むべき本当の態度が分かる、というものです。 
 
エゾアカガエルは、観察のあと、森に戻されました。 
葉っぱの影に見えなくなってゆくカエルをみんなで見送り、生徒のひとりは「また遊ぼうねーっ」と、小さく手を振りました。

 
坂を下って行くと、陽の射す池が広がっていました。 
 
水の中にイトトンボのヤゴ(幼虫)や、カメムシの仲間でタガメに似たコオイムシも見つけました。 
池の上にきれいなルリ色の模様のイトトンボが何匹か飛んでいました。 
 
緑色のカエルも見つけました。 
在来種の2種のうちの、もう一種類。ニホンアマガエルでした。

 
池を離れ、針葉樹に囲まれた道を通り抜けると、木の葉の上に光を反射するメタリックな虫がいました。ハンノキハムシです。 
しかし洞爺の小学校ではずっと前から「ギンムシ」と呼んでいます。 
 
「黄金小学校ではこの虫をギンギラムシって呼んでるよ。洞爺の小学校ではギンムシって呼んでるって教えてあげたよ」 
と加藤さんが言うと、 
生徒たちは先生も一緒になって 
「ギンムシのほうがいいよなあ」。 
すると加藤さん「むこうでは、自分たちが呼んでるギンギラムシのほうがいいって言ってた」。 
 
そして、こうも言います。 
 
「黄金小では、ケバエの仲間かと思われる昆虫を「ハンター」と呼んでます。真っ黒で、音もなくフワァーと飛んできて、いかにも他生物を襲いそうな感じからでしょう。 
こういった子ども自身によるネーミングは大事にしたいです。 
生物の名前なんて意外とどうでもいい気がするんです。ハンノキハムシは自分のことを「俺はハンノキハムシって名前だぜ」とは思っていません。そもそもが人間による勝手な命名なので・・・。子どもたちのギンムシやらハンターやら・・・のほうが見た目を忠実に再現していて私は大好きです」 
 
そんなことを話しているとアシナガグモが手の上を横切りました。 
加藤さんがそれを見て言いました。 
「アシナガグモって、ほんとうの名前はザトウムシって言うんですよ」 
なんと・・・。


 
加藤さんは、大学卒業後、ニュージーランドでスキーにのめり込んだり、その後、カナダのキャンモアという小さな田舎町にある山岳学校で山岳ガイドになるための勉強をしました。 
 
帰国後、ある方との出会いがきっかけで大雪山で山岳パトロールの仕事につきました。登山道の整備や山小屋の補修、ヒグマの監視、高山植物の盗掘や高山蝶の違法採取の巡視、事故救助、水場の水質検査などの内容です。 
その中で、人間が不用意に運んだ様々な外来生物によって在来種の生きる環境が壊されかけていることを目の当たりにしたと言います。

「ぞろぞろ列をなして歩くツアー登山客を常に見かけました。自分もバイト的にガイドをお願いされたりしていたんですが。そうしているうち、列をつくって歩いている場合ではない、と思ったんですよ。自分がするべきことは他にあるんじゃないかって」。 
 
 
山岳パトロールの仕事をやめて、環境省に入り、国立公園へ。大雪山か洞爺か、どちらかに行こうと考え、結局洞爺に決めたそうです。 
「どうしてか、ここは落ち着くんですよ。山があって川があって海もあって、この感じが」 
 
現在、伊達市清住町に「NPO法人いきものいんく」の事務所があり、その敷地内にはトドマツで作ったツリーハウスが出来上がりました。 
ここでは生き物についての学習会も開かれています。 
 
夏休みの間に、ツリーハウスに一泊し、様々な生き物について学ぶキャンプ学習会も行なわれます。 
「キャンプというよりサバイバルに近いかも・・・」と加藤さん。

<キャンプ学習会>
 
7月20日(土)〜21日(日)/8月1日(木)〜2日(金)/8月5日(月)〜6日(火) 
対象は4〜6年生。1回(1泊)6名限定。 
参加料1人6000円(ツリーハウス泊、夕朝食つき、川遊び用具レンタル込) 
 
ライフジャケットとシュノーケルで野生の魚や水生昆虫を観察し川のはたらきについて学んだり、森でトカゲを捕ったり。ツリーハウスで夕食を食べて、夜の甲虫ツアーに出かけたり。そして体験したことを夏休みの自由研究にも使えるようにまとめたり。 
 
上記キャンプ学習会、 
また小学校などの授業での学習・野外学習に関しても、 
お問い合わせは下記まで。



NPO法人 いきものいんく 〒052-0005 北海道伊達市清住町47-1 
TEL・FAX:0142-82-7757/メール:ikimono_inc_kato@ybb.ne.jp 
むしゃなび内 いきものいんくのページ
※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2013年6月25日)  

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